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10人に褒められても、たった1人の批判が忘れられない ― ネガティビティ・バイアスという心のしくみ ―

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10人に褒められても、たった1人の批判が忘れられない ― ネガティビティ・バイアスという心のしくみ ―

10人に褒められても、たった1人の批判が忘れられない ― ネガティビティ・バイアスという心のしくみ ―

2026/10/11

 

職場で、こんな経験はありませんか。

 

一生懸命取り組んだ仕事が終わり、

周囲の人から声をかけられました。

 

「とてもよかったですよ」

「わかりやすかったです」

「本当に助かりました」

多くの人が褒めてくれました。

 

ところが、たった一人から、

「もう少し工夫した方がよかったですね」

と言われました。

 

すると、どうでしょう。

 

帰り道でも、家に帰ってからも、

その一言が頭から離れません。

 

「あの部分がよくなかったのかな」

「やっぱり、まだまだだな」

 

せっかく多くの人から褒められたのに、

気づけば、たった一つの指摘について考え続けている。

 

そんな経験をしたことはないでしょうか。

 

 

 

なぜ、嫌なことほど心に残るのか?

心理学には、「ネガティビティ・バイアス」

という言葉があります。

 

これは、私たちが良い情報よりも、

悪い情報や不快な出来事に強く注意を向けたり、

影響を受けたりしやすい傾向のことです。

 

たとえば、

何人にも褒められたのに、

一人の批判が気になる。

 

楽しい一日だったのに、

最後に起きた嫌な出来事を思い出す。

 

相手から親切にされたことより、

冷たい態度を取られたことが心に残る。

 

こうしたことにも、

ネガティビティ・バイアスが関係している可能性があります。

 

 

 

脳は危険な情報に注意を向けやすい

 

なぜ、このような心の働きがあるのでしょうか。

 

その背景には、私たちが危険を避け、

安全を確保するために発達させてきた

仕組みがあると考えられています。

 

 

たとえば、昔の人々が自然の中で生活していたとき、

周囲の危険に気づくことは、生き延びるために重要でした。

 

美しい花を見つけることも楽しい経験ですが、

近くに危険な動物がいることに気づく方が、

命を守るうえでは重要です。

 

そのため、人間には危険や不快な情報に

注意を向けやすい傾向があると考えられています。

 

現代社会でも、その働きは私たちの生活に影響しています。

 

職場での批判、相手の不機嫌な表情、

SNSでの否定的なコメント。

 

こうした情報が、強く心に残ることがあるのです。

 

 

 

心に残った一言が、すべてではない

 

では、ネガティビティ・バイアスと

うまくつき合うには、どうしたらよいのでしょうか。

 

私は、「良かったことにも意識して目を向ける」

ことが大切だと思います。

 

先ほどの職場の例で考えてみましょう。

 

一人から改善点を指摘されたとき、

「そうか、そこは次に工夫してみよう」

と受け止めます。

 

そして同時に、

「でも、多くの人が喜んでくれた」

「自分なりに努力できた」

「うまくいった部分もたくさんあった」

という事実にも目を向けてみます。

 

改善点を次に生かしながら、

良かったこともきちんと受け取る。

 

それによって、一つの批判に偏っていた見方を、

少しずつ広げることができます。

 

 

 

心のエネルギーをどこに使うか

 

私は「心のエコ生活」と

いう考え方を提案しています。

 

私たちは毎日、

さまざまなことに心のエネルギーを使っています。

 

その中には、何度考えても答えが出ないことや、

自分では変えられないこともあります。

 

たとえば、

「あの人は、なぜあんなことを言ったのだろう」

「私のことをどう思っているのだろう」

と考え続けることです。

 

そんなときは、

「今、自分は何に心のエネルギーを使っているのだろう?」

と問いかけてみます。

 

そして、今日できたことや、

次に生かせることへ意識を向けてみる。

 

心のエネルギーの使い方を少し変えることが、

気持ちを整えるきっかけになります。

 

 

 

今日の「良かったこと」を思い出してみる

 

一日の終わりに、

今日あった良かったことを

三つ思い出してみるのも一つの方法です。

 

「同僚が笑顔であいさつしてくれた」

 

「予定していた仕事が終わった」

 

「おいしい昼食を食べられた」

 

どんな小さなことでも構いません。

 

私たちの心は、嫌な出来事に目を

向けやすい傾向があります。

 

だからこそ、良かったことにも

意識して目を向けてみる。

 

「今日、嫌だったことは何だろう?」

と考える時間と同じくらい、

 

「今日、良かったことは何だろう?」

と考える時間も大切にしたいものです。

 

心に残った一つの嫌な出来事が、

その日すべてを表しているわけではありません。

 

あなたの一日には、きっと、

それ以外の出来事もあったはずです。

 

その一つ一つにも、目を向けてみませんか。

 

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