【私の人生を心理学で振り返る②】本当は嫌だった花柄のお弁当箱 ― 幼い頃に覚えた「人からどう見られるか」(自分の体験談より)
2026/09/14
前回は、私が双子として生まれ、
幼い頃に母から「兄の分も生きてほしい」と
言われたことについて書きました。
今回は、その少し後。
幼稚園に入った頃の記憶を振り返ってみたいと思います。
私が幼稚園に入ったのは、
4月ではなかったと思います。
はっきりとは覚えていませんが、
たしか6月頃だったように記憶しています。
なぜ途中から入園したのかは、
今となっては分かりません。
ただ、私が幼稚園に入ったとき、
周りの子どもたちはすでに園の生活に慣れていたようでした。
そんな中に、私は途中から入っていきました。
母と離れるのがつらくて、泣きじゃくった初日
初めて幼稚園に行った日のことは、
今でも少し覚えています。
私は、母と離れるのがとてもつらくて、
泣きじゃくりました。
母が帰ろうとすると、
ますます泣いたようです。
母も私の様子を見て、
なかなか帰ることができませんでした。
すると幼稚園の先生が母に、
「お母さんがいるから泣くんです。
すぐに帰ってください」
と言ったそうです。
母は心配しながらも、
先生に言われた通り、
その場を離れました。
幼い子どもにとって、
家族と離れて新しい場所に入ることは、
大きな環境の変化です。
特に私の場合は、
みんながすでに慣れているところへ
途中から入っていったので、
最初はかなり不安だったのだと思います。
心理学では、
子どもは安心できる人とのつながりを土台にしながら、
少しずつ外の世界へ広がっていくと考えます。
知らない場所。
知らない先生。
すでに仲良くなっている子どもたち。
その中で母と離れることは、
当時の私にとって大きな出来事だったのでしょう。
それでも、しばらくすると
私も少しずつ幼稚園に慣れていきました。
ところが、毎日の中で一つだけ、
とても気が重い時間がありました。
お弁当の時間です。
商店街中を探して、やっと見つけたお弁当箱
途中入園だったため、
その頃には子ども用のお弁当箱が
あまり売っていなかったようでした。
普通なら、男の子が喜びそうな
格好いいキャラクターのお弁当箱や、
子ども向けのものがいろいろ並んでいたのかもしれません。
けれど、6月頃になると、
そうした商品はほとんど残っていなかったのです。
母と私は、
お弁当箱を探して
商店街を歩き回りました。
何軒も探したと思います。
そして、ようやく一つだけ見つけました。
それが、花柄のお弁当箱でした。
そのお弁当箱を見て、
私は本当は嫌だと思いました。
当時の私の中では、
「花柄は女の子っぽい」
という感覚があったのです。
ところが、母は散々探し回って、
ようやく見つけたお弁当箱を前にして、
「もうこれしかないから、
これでいいよね。いいよね」
と私に言いました。
私は、本当は嫌でした。
でも、母の勢いに押されるようにして、
「いいよ」
と答えてしまいました。
今思えば、
ほんの小さな出来事です。
それでも、この場面は今でも覚えています。
本当は嫌だったのに「いいよ」と言ってしまった
この場面を今、
心理学の視点から振り返ると、
少し興味深く感じます。
私は自分の中に、
「嫌だ」
という気持ちがありました。
その一方で、
「お母さんも一生懸命探してくれた」
「もうこれしかない」
「ここで嫌だと言ったら困らせるかもしれない」
そんな空気も感じ取っていたのかもしれません。
そして、自分の気持ちよりも
その場の流れを優先して、
「いいよ」
と言いました。
もちろん、この一つの出来事だけで、
その後の性格や考え方が決まったわけではありません。
ただ、今の自分から振り返ると、
自分の本音より、相手の気持ちやその場の空気を先に考える
という行動が、
幼い頃の自分にもすでにあったことに気づきます。
人は成長する中で、さまざまな場面から、
「こうした方がうまくいく」
「こうすれば相手を困らせない」
「ここでは自分が我慢した方がいい」
ということを少しずつ学んでいきます。
そうした経験が積み重なると、
知らないうちに行動のパターンになっていくことがあります。
お弁当の時間になると、私は周りを気にしていた
翌日のお昼。
みんなは楽しそうに、
自分のお弁当箱を広げていました。
格好いいキャラクターが描かれたもの。
女の子たちは、
かわいらしいキャラクターや花柄のお弁当箱。
その中で私は、
花柄のお弁当箱を持っていました。
私は、
「みんなに見られたくない」
と思っていました。
「女の子みたい」
と言われるのが怖かったのです。
そこで、周りの子たちが
見ていないタイミングを見ながら、
サッとふたを開けました。
そして、花柄が見えないように、
すぐにふたを重ねました。
その動作を、
毎日していた記憶があります。
みんながお弁当を楽しみにしている時間。
私にとっては、
周囲の目を気にしなければならない時間でもありました。
「人からどう見られるか」を意識し始めた頃
子どもは成長するにつれて、少しずつ、
「自分が周りからどう見られているか」
を意識するようになります。
自分と周りを比べたり、
「同じだと安心する」
「違うと少し不安になる」
という感覚も出てきます。
私の場合、花柄のお弁当箱は、
「みんなと少し違う自分」
を意識させるものだったのかもしれません。
実際に誰かから、
「女の子みたい」
と言われた記憶はありません。
それでも私は、
「いつか言われるかもしれない」
と考えていました。
人は実際に何かを言われたときだけ
不安になるわけではありません。
「こう思われるかもしれない」
「笑われるかもしれない」
「変に見られるかもしれない」
と想像するだけでも、心は緊張します。
そして、その緊張を避けるために、
見られないようにする。
隠す。
周りに合わせる。
目立たないようにする。
そんな行動を取ることがあります。
幼稚園の頃の私は、
お弁当箱のふたを素早く重ねることで、
自分なりに心を守っていたのでしょう。
小さな経験が、心の中に残ることがある
大人になってから考えると、
「お弁当箱くらい」
と思えるかもしれません。
けれど、子どもの世界では、
その「くらい」がとても大きなことがあります。
洋服。
靴。
持ち物。
話し方。
家族のこと。
友達との違い。
大人には小さく見えることでも、
子どもにとっては、
「自分がどう見られるか」
に関わる大きな問題になることがあります。
そして、そうした経験が何度も重なる中で、
「人からどう思われるかを気にする」
「周りに合わせる」
「自分の気持ちを少し引っ込める」
という習慣が作られていくこともあります。
私自身、後の人生を振り返ると、
人の顔色を気にしたり、
周囲に合わせたりすることが何度もありました。
それが、この花柄のお弁当箱から
始まったとは言い切れません。
ただ、
「人からどう見られるかを気にしていた自分」
が、すでに幼稚園の頃にいた。
今振り返ると、そのことに気づきます。
人の目を気にする心にも、始まりがある
私たちは今の自分だけを見ていると、
「どうして私は、こんなに人の目が気になるのだろう」
「どうして本音が言えないのだろう」
「どうして相手に合わせてしまうのだろう」
と考えることがあります。
けれど、その心の動きにも、
それまでの経験の積み重ねがあります。
幼い頃に、
周りと違うことが恥ずかしかった。
誰かに笑われるのが怖かった。
相手を困らせたくなかった。
その場の空気を悪くしたくなかった。
そんな小さな経験が少しずつ重なって、
今の考え方や行動につながっていることがあります。
だからこそ、
自分の過去を振り返ることには意味があります。
「あの頃の自分は、
そんなことを感じていたんだな」
と気づくだけでも、
自分への見方が少し変わることがあります。
今回、私が思い出したのは、
花柄のお弁当箱をそっと隠していた幼稚園時代の自分でした。
今なら、その子に、
「ずいぶん周りを気にしていたんだね」
「頑張ったね」
と声をかけてあげたいと思います。
あなたの人生も、
心理学の視点から振り返ることができます
私たちが今、
人間関係の中でどんなことを気にしやすいのか。
なぜ同じような場面で苦しくなるのか。
なぜ自分を責めやすいのか。
なぜ人の顔色が気になるのか。
こうした今の心の動きには、
これまで生きてきた中での経験が関係していることがあります。
子どもの頃、どんな家庭で育ったのか。
どんな言葉をかけられてきたのか。
人との関わりの中で、どんな経験をしてきたのか。
そして、そのとき自分は何を感じ、
どのように受け止めていたのか。
生まれてから現在までの歩みを丁寧に振り返っていくと、
「自分は、ここから影響を受けていたのかもしれない」
「だから、こういう場面になると苦しくなるのかもしれない」
「今まで自分が繰り返してきた行動には、こんな理由があったのかもしれない」
と、自分を理解する手がかりが見つかることがあります。
私のカウンセリングでも、
ご自身の生い立ちから現在までを一緒に振り返りながら、
心理学などの視点を取り入れて、
今の人間関係や生きづらさとのつながりを整理していくことができます。
あなたの人生も、心理学の視点から振り返ってみませんか。
自分のこれまでを知ることは、
これからの自分を知ることにもつながります。
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