【ダメ少年、校長になる⑫】人前に立つのが怖かった私が、合唱では立てた ― 指揮者がくれた小さな自信(自分の体験談より)
2026/10/15
中学生の頃、
合唱コンクールで私は
指揮者を任されました。
でも、指揮者をやると聞いた瞬間、
私はうれしい気持ちよりも、
不安の方が先に出てきました。
なぜなら、人前に立つと聞くだけで、
小学校時代のつらい記憶がよみがえってきたからです。
小6のとき、
図書委員長を断れず、
全校朝会でうまく自己紹介ができなかったこと。
人前に立つことが怖くて、
学校へ行きたくないと思ったこと。
そうした記憶が、
私の中にはまだ強く残っていました。
だから、
「また震えたらどうしよう」
「恥をかきたくない」
「自分にはできない」
そんな思いが、次々に浮かんできました。
本当は逃げたかった。
できることなら、やりたくなかった。
でも、逃げることはできませんでした。
こうして私は、合唱コンクールの
指揮者をやることになったのです。
人前に立つと、昔の記憶がよみがえる
今振り返ると、このときの私は、
単に「緊張していた」のではなかったのだと思います。
以前に人前でつらい思いをした経験があると、
似た場面に立たされたときに、
その記憶がよみがえることがあります。
心理学では、こうした反応を考えるとき、
過去の経験と今の場面が結びついていることがあります。
私にとって、
「人前に立つ」=「失敗するかもしれない」「恥をかくかもしれない」「怖い」
という結びつきが、すでにできていたのでしょう。
だから、まだ本番でもないのに、
「まただめかもしれない」
と感じてしまったのだと思います。
これは、以前書いてきた予期不安ともつながります。
まだ何も起きていないのに、
先に悪い結果を想像してしまう。
そのことで、さらに不安が強くなる。
私は、この合唱コンクールの指揮者という
役割の中でも、最初はその状態にあったのだと思います。
本当は逃げたかった。でも、逃げなかった
これまでの私なら、
「できない」
「怖い」
と感じたとき、
できるだけ目立たないようにしたり、
その場をやり過ごそうとしたりすることが多かったように思います。
ところが今回は、指揮者という立場上、
完全に避けるわけにはいきませんでした。
本当は逃げたかった。
でも、やるしかない。
このことは、当時の私にとって
大きかったのだと思います。
心理学では、不安を感じる場面をずっと避け続けていると、
「やっぱり自分には無理なんだ」
という思いが強まりやすくなります。
反対に、怖さを感じながらも、
その場に少しずつ関わっていく中で、
「思っていたほど悪いことは起きなかった」
「少しならできるかもしれない」
という新しい経験が積み重なることがあります。
今回の私にとって、
合唱の指揮は、まさにそういう経験に
なっていったのだと思います。
練習を重ねるうちに、少しずつ変わっていった
不思議だったのは、練習を重ねていくうちに、
私の気持ちが少しずつ変わっていったことです。
最初は、
「人前に立つなんて無理だ」
という思いが強かったはずなのに、
だんだんと、
「そこは、もう少しこうやって歌ってほしい」
「ここは、みんなで気持ちを合わせよう」
と、自分の考えをみんなに伝えるようになっていきました。
気がつけば、
私はクラスのみんなの前で話していました。
もちろん、急に別人のようになったわけではありません。
緊張もあったと思います。
不安が消えたわけでもなかったでしょう。
それでも、音楽のことになると、
自分の中から言葉が出てきたのです。
音楽の中では、自分を出すことができた
ここは、私にとってとても
大事なところだと思います。
私は、人前に立つことそのものがまったく
できなかったわけではなかったのです。
ただ、何も支えがない場面では、とても不安が強かった。
でも、音楽という自分の好きなもの、
自分が意味を感じているものが間に入ると、
人前に立つことが少し違ったものになりました。
心理学で考えると、
人は自分にとって意味のあること、
価値を感じることには、
不安があっても踏み出しやすくなることがあります。
私にとって、音楽はまさにそうだったのでしょう。
ただ「人前に立つ」のではなく、
「よい合唱を作るために前に立つ」
と思えたとき、怖さだけではなく、
役割や目的も感じられるようになったのだと思います。
そして、その役割が、
私の行動を少しずつ変えていきました。
繰り返しが、不安を少しずつ和らげた
トランペットでも、勉強でも、
私は「繰り返すこと」で少しずつ変わってきました。
今回の合唱も、同じだったのだと思います。
最初から堂々と指揮ができたわけではありません。
練習のたびに、少しずつ慣れていった。
みんなの前に立つ。
声をかける。
歌を聴く。
また伝える。
そうした経験を何度も重ねていくうちに、
「思ったことを言ってもいいんだ」
「自分にもできることがあるんだ」
という感覚が育っていったのでしょう。
行動心理学の視点から見ると、
これはとても大切です。
怖いことでも、安心できる形で
少しずつ経験を重ねると、
その場面に対する反応が変わっていくことがあります。
最初は強かった不安が、
練習を重ねる中で少しずつ下がっていく。
そして、
「やってみたらできた」
「思ったより大丈夫だった」
という経験が増える。
私にとって合唱の指揮は、
そうした再学習の機会でもあったのだと思います。
クラスの中に、自分の居場所ができた
そして、合唱コンクールが終わる頃には、
もう一つ大きな変化がありました。
それは、クラスの中に、
自分の居場所ができていたことです。
小学校時代の私は、周りの空気を気にし、
人の目を気にし、自分の立ち位置にいつも不安を感じていました。
でも、合唱では、自分に役割がありました。
必要とされている感覚がありました。
自分の言葉が、
少しはみんなに届いている感じもありました。
このことは、私にとってとても
大きかったと思います。
人は、自分が誰かの役に立っていると感じたり、
集団の中で意味のある役割を持てたりすると、
安心感や belonging の感覚を持ちやすくなります。
私にとって指揮者の経験は、
単に「人前に立った」ということだけではなく、
「自分にも、この場の中でいていい場所がある」
と感じられる経験にもなっていたのでしょう。
「自分をもう少し信じてもいいのかもしれない」
小学校では、
人前に立つことが怖くてたまらなかった私。
そんな私が、中学では音楽の中で、
人の前に立つことができました。
トランペットもそうでした。
勉強もそうでした。
そして、合唱もそうでした。
繰り返すことで、
少しずつ変わっていった。
うまくいかなかったことも、
続ける中で変わることがあった。
私はそのことを、
中学生の頃に少しずつ体験していったのだと思います。
そしてその頃、初めて、
「自分をもう少し信じてもいいのかもしれない」
と思えるようになりました。
これは、大きな自信ではありません。
急に強くなったわけでもありません。
でも、
「どうせ自分なんて」
としか思えなかったところから、
「少しなら信じてもいいかもしれない」
と思えたことは、私にとって大きな変化でした。
あなたの人生も、心理学の視点から振り返ることができます
今、
人前に立つのが怖い。
昔の失敗が頭から離れない。
本当はやってみたいのに、自信が持てない。
そんな思いがある方もいるかもしれません。
でも、自分の人生を丁寧に振り返っていくと、
「怖かったけれど、少しずつできるようになったこと」
「逃げたかったけれど、続ける中で変わったこと」
が見つかることがあります。
そうした経験は、
今の自分を支える大切な力になっていることがあります。
私のカウンセリングでも、
ご自身の生い立ちから現在までを一緒に振り返りながら、
心理学や行動心理学などの視点を取り入れて、
今の人間関係や生きづらさとのつながりを整理していくことができます。
あなたの人生も、心理学の視点から振り返ってみませんか。
自分のこれまでを知ることは、
これからの自分を知ることにもつながります。
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