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声が届かなかったあの日から——過去の痛みが、わたしの教育の原点になった(自分の体験談より)

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声が届かなかったあの日から——過去の痛みが、わたしの教育の原点になった(自分の体験談より)

声が届かなかったあの日から——過去の痛みが、わたしの教育の原点になった(自分の体験談より)

2026/08/07

中学1年のある朝。


部活の朝練がいつもより少し長引いてしまい、

私は朝の会に遅れて教室へ向かいました。


いつもなら間に合っているのに、

その日は顧問の先生がなかなか終わりにしてくれなかったのです。

 

 

教室に入ってすぐ、

担任に理由を伝えようとしました。


でも返ってきた言葉はこうでした。


「まずは殴らせろ。理由はそれからだ。」

 

私は理由すら聞いてもらえず、

ビンタされました。

 

 

その瞬間、

「どうせ言っても聞いてもらえない」と

いう感覚が心の奥に深く刻まれました。

 


怒りと悔しさと、

どうにもならない悲しさが混ざった感情。


今でも、あの時の教室の空気を思い出すことがあります。

 

 

【努力しても、見てもらえない悲しさ】
それからしばらくして、

校内写生大会がありました。

 


作品が仕上がらない生徒は宿題になり、

私は家で夜の8時から朝の4時まで描き続けました。


納得のいく色がどうしても出せず、

ほんの一部だけ塗らずに提出することになりました。

 

 

忘れたと思われたくなかった私は、

画用紙の裏にこう書きました。


「夜8時から朝4時まで一生懸命描きました。

    どうしても納得のいく色が出なくて、仕上げられませんでした。」

 

名前のすぐ横に、丁寧に書き添えて提出しました。

読んでくれると信じて。

 

 

でも、担任から返ってきたのは——


「なんで終わってないんだ」


という怒りの言葉だけでした。

 

私は言葉を飲み込みました。

 


言いたいことはあった。

でも、あの勢いに、また負けてしまいました。

 

 

【“伝わらなかった”経験がつくった心の反応】
心理学では、

こうした経験が心に与える影響を

小さなトラウマ」と呼ぶことがあります。

 


傷は目に見えなくても、

心の深いところで

「わかってもらえない」

「話しても無駄」と感じるようになります。

 

 

そしてそれは、

「言いたいのに言えない」
「失敗すると責められると思ってしまう」
「相手の顔色を過剰に気にしてしまう」
といった“反応のクセ”として残っていきます。

 

 

実は、小学校時代にも

同じような体験をしていました。

 


何かを言いたくても、

うまく言葉にならず、

誤解され、責められる——

 


そんな経験の積み重ねが、

「どうせダメだ」「伝えても無駄だ」

という思い込みを私の中に育てていったのです。

 

 

【教師になって、私は決めたことがある】
この体験は、

今でも私の心に静かに残っています。


でも同時に、

それは「教師になった理由」でもありました。

 

 

私は思ったのです。


「もう、あのときの私のような思いを、子どもにさせたくない」と。

 

 

だから教師になってからは、

子どもの話を最後まできちんと聞くことを大切にしました。

 


どんなに忙しくても、

叱る前にまず「なぜそうなったのか」を尋ねました。

 


子どもが言葉に詰まるときは、

話してくれるまでじっくり待ちました。

 

もちろん、叱ることもあります。

 


でも、それは一方的に責めるのではなく、
「何がいけなかったのか」

「どうすればよかったのか」を

一緒に考える時間にしてきました。

 

 

 

“安全な関係”が、人を変える


心理学には

「心理的安全性」という言葉があります。

 


ミスをしても、

弱さを見せても「大丈夫」と

感じられる空気のことです。

 

 

私が教室でつくりたかったのは、

まさにその空気でした。


子どもが安心して

「ほんとうの気持ち」を出せる場所。


自分の声が届くと信じられる関係。

 

それは、過去の私が一番欲しかったものです。


だからこそ、私は今日も耳を澄まします。


子どもたちの、小さな心の声に。

 

 

 

🗣【「先生が一番話しやすい」と言われた日のこと】


教員17年目のある日、

部活動の生徒からこう言われたことがあります。

 

「先生が一番、話しやすいです。」

 

その一言が、どれほど嬉しかったか。

 


自分が積み重ねてきた姿勢が、

ちゃんと伝わっていたんだと思えた瞬間でした。

 

実は、こうした言葉が自然に出てくる背景には、

心理学的にも意味があります。

 

「この人は、自分を裁かない」

「安心して弱音を吐ける」と感じる関係を、

心理学では「安全基地(secure base)」と呼びます。

 


子どもたちにとっての“安全基地”になれたことは、

過去の自分自身への小さなリベンジでもありました。

 

私の“あの体験”があったからこそ、

私は子どもと「ただ叱る」のではなく、

一緒に考える姿勢を持ち続けられました。


そしてそれが、長い時間をかけて

「信頼」というかたちで返ってきたのだと思います。

 

 

\ もし、過去の自分と向き合いたいと思ったら /

 

私自身、長い間「自分なんてダメだ」と

思いながら生きてきました。


でも少しずつ、

自分を理解し直し、

取り戻していけた気がしています。

 

そんな体験を、

今度は誰かの力になれたら…と思っています。

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