カウンセリングからコーチングへ―職場の人間関係に悩んでいた方の変化
2026/07/29
「職場の人の顔色が気になってしまう」
「頼まれると、本当は余裕がなくても断れない」
「家に帰ると疲れ切っているのに、次の日になると、また相手に合わせてしまう」
人間関係に悩んでいる方の中には、
このような苦しさを抱えている方がいます。
今回は、職場の人間関係に悩んでいた方が、
カウンセリングで心を整理し、
その後、コーチングの要素を取り入れながら
行動を変えていった事例をご紹介します。
※なお、個人が特定されないよう、
実際の相談をもとに内容や設定を変更した事例です。
相手の表情が少し変わるだけで不安になる
40代のAさんは、
職場で周囲の人の表情や声の調子をとても気にしていました。
同僚の返事が少し冷たく感じられたり、
上司が不機嫌そうな顔をしていたりすると、
「私が何か悪いことをしたのではないか」
「気づかないうちに、相手を怒らせてしまったのかもしれない」
「嫌われたら、職場にいづらくなってしまう」
と考えてしまいます。
相手が実際に何を考えているのかは分かりません。
それでもAさんの心の中では、
「きっと自分が悪い」という考えがどんどん大きくなっていきました。
また、同僚から仕事を頼まれると、
自分にも仕事が残っているのに断ることができませんでした。
「忙しいので難しいです」
「今日は引き受けられません」
そのように伝えようとすると、
相手が不機嫌になる場面を想像してしまうからです。
結局、Aさんは「大丈夫です」と答え、
自分の仕事を後回しにしてまで頼まれたことを引き受けていました。
家に帰ると「どうして私ばかり」と苦しくなる
職場では笑顔で対応していても、
家に帰るころには疲れ切っていました。
「どうして、いつも私ばかり頼まれるのだろう」
「相手は、私なら断らないと思っているのではないか」
「本当は嫌なのに、どうして言えないのだろう」
そのような不満が心の中にたまっていきました。
ところが翌日、職場に行くと、
また相手の顔色が気になります。
そして頼まれると、
再び引き受けてしまいます。
Aさんは、この繰り返しの中で、
自分を責めるようになっていました。
「私が弱いから断れない」
「もっとはっきり言える性格だったらよかった」
「こんなことで悩む自分はだめだ」
しかし、カウンセリングで大切なのは、
すぐに「もっと強くなりましょう」と伝えることではありません。
まずは、なぜそこまで相手の反応が怖いのかを、
丁寧に整理する必要があります。
最初に行ったのは、断り方の練習ではありません
Aさんは、相談に来たとき、
「断れるようになりたいです」
と話していました。
けれども、最初から断り方を練習しても、
心の中にある不安が強いままでは、実際の場面で言葉が出てきません。
そこで、まず次のようなことを一緒に整理していきました。
・相手の顔色が変わると、どのような気持ちになるのか。
・断ったら、何が起きると思っているのか。
・これまで、人に嫌われないように、どのようなことを我慢してきたのか。
・頼まれたことを引き受けたあと、自分にどのような言葉をかけているのか。
話をしていく中で、Aさんは少しずつ、
自分の心の中にある思いに気づいていきました。
Aさんが本当に怖かったのは、
仕事を断ることそのものではありませんでした。
断ったあとの相手の表情や反応が怖かったのです。
「嫌な顔をされたらどうしよう」
「冷たい人だと思われたらどうしよう」
「これから話しかけてもらえなくなったらどうしよう」
その不安があるため、
Aさんは自分の気持ちよりも、相手の機嫌を優先していました。
「断ること」と「相手を傷つけること」は同じではない
Aさんの中には、
「頼まれたことを断るのは、相手に悪いことをすること」
という考えがありました。
しかし、本当にそうなのでしょうか。
自分に余裕がないときに、引き受けられないと伝えること。
すぐには返事をせず、予定を確認すること。
できる範囲を伝えること。
これらは、相手を傷つけるための行動ではありません。
自分の状況を正直に伝え、お互いに無理のない関係をつくるための行動です。
また、相手が一時的に不満そうな顔をしたとしても、
その感情のすべてをAさんが背負わなければならないわけではありません。
Aさんは、カウンセリングの中で、
「私は、相手の感情まで自分の責任だと思っていました」
と話しました。
この気づきは、とても大きなものでした。
ここまでが、カウンセリングの大切な部分です
カウンセリングでは、
・ただ出来事を振り返るだけではありません。
・その出来事によって、どのような気持ちが生まれているのか。
・自分を苦しめている考え方や思い込みは何か。
・なぜ同じような行動を繰り返してしまうのか。
その背景を丁寧に整理していきます。
Aさんの場合は、
「断ると嫌われる」
「相手を不機嫌にしてはいけない」
「自分が我慢すれば関係はうまくいく」
という考え方が、自分を苦しくさせていることに気づきました。
そして、
「私は弱いから断れないのではない」
「人との関係を壊さないように、ずっと頑張ってきたのだ」
と、自分のことを少し違った見方で捉えられるようになっていきました。
ここまでが、心の苦しさを整理し、自分を責める手をゆるめていくカウンセリングの部分です。
心が少し整ったところから、コーチングへ
心が少し落ち着いてくると、Aさんは、
「これからは、全部引き受けるのではなく、自分の状況も大切にしたいです」
と話すようになりました。
ここからは、これからどうしたいのかを一緒に考えていきます。
私から一方的に、
「次からは断ってください」
と指示するのではありません。
次のような問いを通して、Aさん自身の中にある答えを探していきました。
・「これから職場で、どのような自分でいたいですか」
・「今までと同じように頼まれたとき、どのような対応ができたらよいと思いますか」
・「いきなり断るのが難しいとしたら、最初にできそうなことは何ですか」
Aさんが最初に決めたことは、
頼まれた瞬間に「大丈夫です」と答えないことでした。
すぐに引き受けるのではなく、
「今の仕事を確認してから、お返事してもいいですか」
と伝えてみることにしました。
これは、とても小さな一歩に見えるかもしれません。
しかし、Aさんにとっては、
自分の気持ちや状況を確かめるための大切な行動でした。
実際に言ってみると、思っていた反応とは違った
後日、職場で同僚から仕事を頼まれました。
いつものAさんなら、反射的に「大丈夫です」と答えていた場面です。
しかしその日は、少し間を取り、
「今の仕事を確認してから、返事をしてもいいですか」
と伝えることができました。
言葉を口にした直後は、緊張したそうです。
相手が嫌な顔をするのではないか。
冷たい態度を取られるのではないか。
Aさんの頭の中には、さまざまな不安が浮かびました。
ところが相手は、
「分かりました」
と答えただけでした。
Aさんが想像していたような大きな問題は起こりませんでした。
その経験を通してAさんは、
「私は、相手が不機嫌になることを、実際よりもずっと大きく考えていたのかもしれません」
と話しました。
すぐにすべてが変わったわけではありません
もちろん、一度言えたからといって、
その後すぐに何でも断れるようになったわけではありません。
相手によっては、今でも顔色が気になることがあります。
頼まれた瞬間に、反射的に引き受けそうになることもあります。
それでも以前とは違い、自分に問いかけられるようになりました。
「私は、本当に今これを引き受けられるだろうか」
「相手の不機嫌まで、私が背負う必要があるだろうか」
「自分の気持ちを後回しにしていないだろうか」
そして、すぐに返事をしない、
できる範囲を伝える、難しいときは断るという選択肢を持てるようになりました。
この事例での「成功」とは何でしょうか
この事例での成功は、
職場の人間関係がすべて良好になったことではありません。
周囲の人が、全員優しくなったわけでもありません。
Aさんが、誰の顔色もまったく気にしなくなったわけでもありません。
大きく変わったのは、
相手の反応だけを基準にして行動するのではなく、
自分の気持ちや状況を確かめてから、
行動を選べるようになったことです。
以前のAさんは、
「相手がどう思うか」
を最優先にしていました。
現在は、
「相手はどう思うだろう。そして、私はどうしたいのだろう」
と、自分の気持ちも確認できるようになっています。
これは、人間関係の中で自分を大切にするための大きな変化です。
カウンセリングとコーチングは、別々ではありません
私のカウンセリングでは、
心が苦しい方に、最初から目標や行動を求めることはしません。
まずは、安心して話していただきます。
悩みの背景にある気持ちを整理し、
自分を苦しくさせている考え方や心のクセに気づいていきます。
→ ここがカウンセリングです。
そして、心が少し整ってきたところで、
「これからどうなりたいのか」
「今の自分にできることは何か」
「どのような小さな一歩なら踏み出せそうか」
を一緒に考えていきます。
→ ここに、コーチングの要素があります。
カウンセリングで心を整え、
コーチングによって次の一歩を具体的にする。
この二つは、はっきりと分かれているのではなく、
その方の状態に合わせてつながっていくものだと私は考えています。
人間関係に悩んでいる方へ
人の顔色が気になること。
頼まれると断れないこと。
相手を優先し、自分の気持ちを後回しにしてしまうこと。
それは、あなたが弱いからとは限りません。
人との関係を壊したくない。
相手を困らせたくない。
周囲とできるだけ穏やかに過ごしたい。
そのように、これまで人間関係の中で
一生懸命に心を使ってきたからかもしれません。
ただ、自分を後回しにし続ける関係は、やがて心を疲れさせます。
必要なのは、急に強くなることでも、
誰に対してもはっきり断ることでもありません。
まずは、
「私は、今どう感じているのだろう」
「本当は、どうしたいのだろう」
と、自分の心を確かめることです。
そして、すぐに返事をしない、考える時間をもらう、
自分のできる範囲を伝えるなど、今の自分にできる小さな一歩を見つけていきます。
オンラインカウンセリング《輝き》では、
人間関係の悩みや自己否定の苦しさを安心してお話しいただきながら、
その方が自分の心を整え、
自分らしい行動を選べるようになるまで、一緒に考えていきます。
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オンライン・カウンセリング 《輝き》
住所:埼玉県鴻巣市南2丁目
電話番号:050-1720-1859
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