週末のご褒美が、また頑張る力になる ― 心理学と脳科学から考える「楽しみ」の力
2026/09/05
仕事で疲れた週末。
「今日は何を食べようかな」
「久しぶりにあの店に行きたいな」
「来週はこれを作って食べようかな」
私は、そんなことを考えるのが好きです。
食べたいものを想像している時間も楽しいですし、
実際に食べられたときには満足感があります。
そして、おいしいものを食べたあとに、
「よし、また少し頑張ろう」
と思えることがあります。
さらに、
「来週も頑張ったら、またこの店に来よう」
「今度は自分で作ってみよう」
そんな次の楽しみも生まれます。
振り返ってみると、
私はこうした小さな「ご褒美」に、
ずいぶん助けられてきたように思います。
教頭時代は、一日15時間ほど学校にいた
特に大変だったのは、
教頭をしていた頃です。
朝6時には学校を開ける。
そして夜9時を過ぎてから学校を閉める。
一日15時間ほど学校にいる日もありました。
(働き方改革の今の時代では、15時間も働いていたら
ちょっと問題ですが…。)
授業だけを見ていればよかった時代とは、
仕事の種類も責任も大きく変わりました。
職員への対応。
保護者への対応。
子どもへの対応。
校長との調整。
地域とのやり取り。
学校で何かあれば、
まず教頭のところに話が来ます。
一つ終われば、また次。
気づけば夕方になり、
さらに仕事をしているうちに夜になる。
そんな毎日でした。
だから週末になると、
「何を食べようかな」
と考える時間が楽しみでした。
大きな旅行や特別なイベントではありません。
おいしいものを食べる。
好きな店に行く。
自分で食べたいものを作る。
そんな小さな楽しみが、
疲れた体や心を切り替えてくれました。
人は「楽しみが待っている」と動きやすくなる
行動心理学では、
ある行動のあとに自分にとってうれしいことがあると、
その行動が続きやすくなると考えます。
たとえば、
「今週を乗り切ったら、週末に好きなものを食べよう」
という楽しみがある。
すると、目の前の仕事に向かうときにも、
「あと少し」
という気持ちが生まれます。
これは、自分の行動の先に小さな報酬を置いているとも考えられます。
私自身、
「今週は大変だけれど、週末にはあれを食べよう」
と思うことで動けたことが何度もありました。
ご褒美は、仕事そのものを楽にしてくれるものとは限りません。
それでも、
「この先に楽しみがある」
と思えるだけで、
しんどさの感じ方が少し変わることがあります。
食べる前から、楽しさは始まっている
おもしろいのは、
ご褒美は「食べた瞬間」だけにあるわけではないことです。
「週末は何を食べよう」
と考える。
店を探す。
メニューを見る。
料理を想像する。
この時点から、すでに楽しみは始まっています。
脳は、実際に報酬を受け取ったときだけでなく、
「これから良いことがありそうだ」と予測するときにも強く反応します。
その代表としてよく知られているのが、ドーパミンに関わる仕組みです。
ドーパミンは単純な「快楽物質」と表現されることがありますが、実際には、報酬を期待したり、そこへ向かって行動したりすることにも深く関わっています。
つまり、
「金曜日の夜には好きなものを食べよう」
と考えること自体が、次の行動への力になることがあります。
私はまさに、それを生活の中で自然に使っていたのだと思います。
「頑張ったからご褒美」だけではない
私は、ご褒美にはもう一つ役割があると思います。
それは、
「頑張った自分を区切る」
ということです。
忙しい生活が続いていると、
仕事と休みの境目が曖昧になります。
頭の中ではずっと仕事のことを考えている。
家に帰っても、明日の予定を考える。
休みの日まで、月曜日のことを考える。
教頭時代の私は、そうなりやすい生活でした。
そんな中で、
「今日はここまで」
「今週も終わった」
という区切りを作ってくれたものの一つが、週末の楽しみでした。
好きなものを食べる。
少しゆっくりする。
「ああ、おいしかった」と思う。
その時間が、仕事モードから生活モードへ
戻るきっかけになっていたのだと思います。
ご褒美は、大きくなくていい
「自分へのご褒美」というと、
高価なものを買ったり、
旅行に行ったりすることを想像する人もいるかもしれません。
私は、もっと小さなものでいいと思います。
好きなお菓子を食べる。
少し高めのコーヒーを飲む。
日帰り温泉に行く。
好きな音楽を聴く。
録画しておいた番組を見る。
昼寝をする。
好きな料理を作る。
大切なのは、
「これがあるとうれしい」
と自分が感じられることです。
人によって、ご褒美は違います。
私にとっては、
おいしいものがかなり大きかったのでしょう。
「また来週」という気持ちが生まれる
週末に好きなものを食べて満足すると、
「また来週もここに来よう」
「今度はあれを食べよう」
という気持ちが生まれます。
私は、この感覚も大切だと思っています。
人は、ずっと遠い未来だけを見て頑張り続けるのは大変です。
「来年のため」
「将来のため」
「老後のため」
それも大切です。
でも、
「金曜日まで頑張ろう」
「週末はこれをしよう」
「来週またあの店に行こう」
くらいの近い未来に楽しみがあると、
毎日の生活にリズムが生まれます。
遠い目標より、近い楽しみのほうが、
その日の自分を動かしてくれることもあります。
自分を動かすものを、自分で知っておく
私は教頭時代、
「責任があるから頑張らなければ」
という気持ちだけで動いていたわけではありません。
小さな楽しみにも支えられていました。
それを今振り返ると、
「自分が何をすると少し元気になるのか」
を知っておくことは、とても大切だと思います。
疲れたら温泉。
好きなものを食べる。
音楽を聴く。
誰かと話す。
一人で過ごす。
人によって違います。
自分に合った回復の方法が分かっていると、
「疲れてきたから、そろそろこれを入れよう」
と調整できます。
これは、自分の心との付き合い方でもあります。
ご褒美も「心のエコ生活」
私は「心のエコ生活」と
いう言葉を使っています。
心にも、使えるエネルギーには限りがあります。
仕事で長い時間を使う。
人に気を配る。
責任を背負う。
考える。
判断する。
こうした毎日では、
心のエネルギーも使われます。
だから、使うだけでなく、
回復する時間も必要です。
私にとって、週末のおいしいものは、
その回復方法の一つでした。
「今週も頑張った」
「これを食べたら、また来週もやっていこう」
そう思える時間があったから、
次の一週間へ向かえたのだと思います。
自分へのご褒美は、甘やかしというより、
自分を動かすための工夫。
自分を回復させるための工夫。
そんな見方もできます。
あなたには、
「これがあると、また少し頑張れる」
というものがありますか。
週末に一つ、楽しみを用意しておく。
それだけでも、
月曜日からの一週間の見え方が
少し変わるかもしれません。
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