最初は期待していなかったのに、今では夢中になるのはなぜ? ― 単純接触効果という心のしくみ ―
2026/11/06
私は毎朝、NHKの連続テレビ小説、
いわゆる「朝ドラ」を楽しみにしています。
以前放送されていた朝ドラが終わりに近づいたころ、
次の作品については、正直なところ、それほど期待していませんでした。
「今度はどんな話なのだろう」
そんな程度の気持ちでした。
ところが、新しい朝ドラが始まって1か月ほどたった今、
すっかり夢中になっています。
毎朝、登場人物たちの言動に一喜一憂しながら、
物語の展開を楽しんでいます。
そして、放送が終わると、
「明日はどうなるのだろう?」
と、続きが気になって仕方ありません。
最初はそれほど関心がなかったのに、
毎日見ているうちに、いつの間にか大好きになっている。
実は、こうした変化にも心理学が
関係している可能性があります。
何度も接するうちに親しみが生まれる
心理学には、「単純接触効果」という言葉があります。
これは、同じ人や物などに繰り返し接することで、
親しみや好意を感じやすくなる現象です。
心理学者ロバート・ザイアンスの研究で広く知られるようになったことから、
「ザイアンス効果」とも呼ばれています。
たとえば、最初は何とも思わなかった音楽でも、
何度も聴いているうちに好きになることがあります。
テレビCMで繰り返し見かける商品に、
何となく親近感を覚えることもあります。
朝ドラも同じです。
毎朝、同じ登場人物を見ているうちに、
その人の性格や考え方が少しずつわかってきます。
最初は知らない人だった登場人物が、
いつの間にか身近な存在のように感じられるのです。
もちろん、朝ドラに夢中になる理由は、
単純接触効果だけではありません。
登場人物への感情移入や、
物語の面白さ、
次の展開への期待なども関係しています。
ただ、毎朝繰り返し見ることが、
登場人物への親しみを深める
一つの要因になっているのでしょう。
人間関係でも同じことが起こる
この心理は、私たちの日常の
人間関係にも関係しています。
たとえば、新しい職場に異動したとき。
最初は、周囲の人がどんな性格なのかもわかりません。
会話をするにも、少し緊張することがあります。
ところが、毎朝あいさつを交わしたり、
休憩時間に短い会話をしたりしているうちに、
少しずつ親しみを感じるようになることがあります。
最初はぎこちなかった関係が、
いつの間にか自然に話せる関係になっている。
これも、単純接触効果が
関係している可能性があります。
大切なのは、接触の回数だけではない
ただし、何度も会えば、
必ず相手を好きになるというわけではありません。
会うたびに嫌な思いをする相手なら、
かえって苦手意識が強くなることもあります。
また、相手が望んでいないのに
何度も連絡を取ったり、
無理に会おうとしたりすれば、
負担になることもあります。
大切なのは、お互いが安心できる、
自然な関わりを重ねることです。
毎朝のあいさつ。
ちょっとした声かけ。
相手への感謝の言葉。
そんな小さな積み重ねが、
親しみや信頼を育てるきっかけになることがあります。
親しみは、少しずつ育っていく
今回、朝ドラを見ながら、
改めて感じたことがあります。
最初から強い関心や親しみがなくても、
繰り返し接するうちに、
気持ちが変わっていくことがあるということです。
人間関係も、最初から親しくなる必要はありません。
無理に距離を縮めようとするよりも、
日々の自然な関わりを大切にしてみる。
「おはようございます」
「お疲れさまでした」
「ありがとうございます」
そんな短い言葉の積み重ねから、
少しずつ心の距離が近づいていくこともあります。
そして、もう一つ。
今はあまり親しくない相手でも、
これからの関わり方によって、
印象が変わる可能性があります。
人間関係は、最初の印象だけで決まるものではありません。
毎日の小さな関わりを大切にしていきたいものですね。
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