【アドラー心理学 第3回】なぜ人は他人と比べるのか? ― 劣等感と成長の心理学
2026/11/04
他人と比べて、
落ち込んだことはありませんか?
「同じ時期に入社した人が、先に昇進した」
「友人は充実した生活を送っているのに、
自分は毎日同じことの繰り返し」
「周りの人は何でも上手にできるのに、
自分には苦手なことが多い」
そんなふうに、他人と自分を比べて
落ち込んだ経験はありませんか?
特に最近は、SNSなどを通して、
他人の活躍や楽しそうな生活を
目にする機会が増えています。
人と比べること自体は、ごく自然な心理です。
しかし、比較するたびに自分の足りない部分ばかりが
気になるようになると、心の負担も大きくなってしまいます。
今回は、アドラー心理学の「劣等感」という考え方から、
他人と自分を比べる心理について考えてみましょう。
劣等感は、成長への原動力にもなる
アドラー心理学では、
劣等感を重要な概念として捉えています。
劣等感という言葉を聞くと、
自分に自信がないことや、
他人より劣っていると感じることを
思い浮かべるかもしれません。
しかし、アドラーが考えた劣等感は、
それだけではありません。
「もっと上手になりたい」
「今より成長したい」という理想と、
現在の自分との間にある隔たりを感じることも、
劣等感に含まれます。
例えば、料理が苦手な人が、
手際よく料理をする友人を見て
「自分もあんなふうに作れるようになりたい」と思ったとします。
その気持ちから料理を学び始め、
少しずつできることが増えていく。
この場合、劣等感が成長への
原動力になっています。
つまり、劣等感を抱くこと自体が問題なのではなく、
その気持ちとどのように向き合うかが大切なのです。
「あの人に勝ちたい」と「自分も成長したい」の違い
ここで、二つの考え方を比べてみましょう。
一つは、「あの人より優れた人間になりたい」という考え方です。
もう一つは、「あの人のよいところを参考にして、
自分も成長したい」という考え方です。
どちらも、他人を見て刺激を受けたことから始まっています。
しかし、前者は他人との勝ち負けが中心になるため、
自分より優れた人が現れるたびに、
新たな競争が始まる可能性があります。
一方、後者は、自分自身の成長に意識が向いています。
アドラー心理学では、「優越性の追求」と
いう言葉が使われます。
これは単に他人に勝つことではなく、
今の状態から、よりよい状態を目指そう
とする人間の傾向を表しています。
そして、その努力が他人との競争だけに
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