【私の人生を心理学で振り返る⑨】私の人生を変えたトランペットとの出会い ― 「上手になりたい」と初めて思えた(自分の体験談より)
2026/10/05
中学校では、
私は普通学級に進むことができました。
そして、吹奏楽部に入りました。
そこで出会ったのが、トランペットです。
小学校6年生のとき、
私は一度トランペットにあこがれながらも、
「体の小さい子は無理」と言われ、
トランペット鼓隊に入ることができませんでした。
だからこそ、中学校で実際にトランペットを
手にしたときのことは、今でもよく覚えています。
ピカピカに光る楽器を見たとき、
「上手になりたい」
と、心の底から思いました。
今振り返ると、あれは私にとって、
とても大きな出会いでした。
初めて「やりたい」と思えたこと
それまでの私は、
どちらかというと、
「失敗しないようにしよう」
「怒られないようにしよう」
「目立たないようにしよう」
と考えることの多い子どもでした。
自分から強く何かを望むよりも、
周囲に合わせながら過ごしていた
部分が大きかったように思います。
そんな私が、
トランペットを前にしたときには、
「これをやってみたい」
「上手になりたい」
とはっきり思いました。
心理学では、
外から言われたから動くのではなく、
自分の内側から湧いてくる意欲を内発的動機づけと考えます。
トランペットは、
まさにそれでした。
誰かにやらされたからでもなく、
褒められたいからでもない。
自分が本当に惹かれていたのです。
この「やりたい」という気持ちは、
その後の私を動かす大きな力になっていきました。
ところが、最初は全然うまくいかなかった
もちろん、始めたからといって、
すぐに上手に吹けたわけではありません。
専門書を買って読んでも、
書いてあることがよく分からない。
私は勉強が苦手だったから、
1、2行読んでも意味がわからない
言葉だらけでした。
それに、何度吹いても音が外れる。
指も思うように動かない。
自分では一生懸命やっているつもりなのに、
思ったような音にならない。
周りを見ると、
ほかの人は自分よりうまくできているように見えました。
すると、またいつもの
自信のない自分が顔を出します。
「どうして、みんなはできるのに、僕はできないんだろう」
これまでの私は、
分からないことやできないことに出会うと、
「やっぱり自分はだめなのかもしれない」
と考えやすいところがありました。
トランペットでも、最初は同じでした。
「できない自分」と、また比べ始めた
人は、自分と周りの人を比べることで、
「自分はどのくらいできているのか」
を知ろうとすることがあります。
心理学では、こうした働きを社会的比較といいます。
周りの人がうまくできているように見えると、
「自分だけできない」
と感じやすくなります。
私も、
「あの人は音が出ている」
「自分はうまくいかない」
と比べていたのでしょう。
すると、練習そのものよりも、
「自分はできない」
という気持ちが強くなっていきます。
これまで何度も味わってきた、
自信のない感覚がまた戻ってきました。
それでも、トランペットだけは諦めたくなかった
でも、不思議なことがありました。
それは、トランペットだけは諦めたくなかったということです。
分からない。
うまくいかない。
何度やっても失敗する。
それでも、
「もうやめよう」
とは思いませんでした。
むしろ、
「どうしたら吹けるようになるんだろう」
という気持ちの方が強かったのです。
そこで私は、
専門書の同じページを何度も読みました。
分からなければ、また読む。
それでも分からなければ、もう一度読む。
うまく吹けなければ、また練習する。
思うようにできないことが
悔しくて、泣いたこともあります。
それでも、トランペットから
離れたいとは思いませんでした。
今振り返ると、ここがそれまでの自分とは
少し違っていたのだと思います。
できないからやめるのではなく、
できないからこそ、できるようになりたかった。
私の中に、
そんな気持ちが初めて生まれていました。
そして、この繰り返しの先で、私は初めて、
「できた!」
と思える瞬間を経験することになります。
その小さな成功体験が、
私の心を少しずつ変えていきました。
それについては、
次回に書きたいと思います。
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